2トントラックの運転は、普通乗用車と比べて積載物の高さが異なるだけでなく、車幅や死角など多くの注意点が挙げられます。また、2トントラックをレンタルするにしても、労力や費用面が気になるものです。
そこで本記事では、2トントラックをレンタルしようと考えている方に向けて、概要や注意点などを紹介します。レンタルして自分で運転するよりも安心できる方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
2トントラックとは
2トントラックとは、大型・中型・小型の内、小型に分類されたトラックです。2トントラック以外には3トントラックが小型トラックに分類されています。
上記のような大きさによって大きく分類された中に、容量などからさらに分けられています。具体的な呼び名や寸法の違いは以下のとおりです。
種類 | 荷台の広さ | 積載量の目安 |
ショートタイプ | 床面積:5.5平方メートル(3.3畳)容量:12平方メートル | 1〜2人暮らしの荷物程度 |
ロングタイプ | 床面積:8平方メートル(4.8畳)容量:18平方メートル | 2〜3人暮らしの荷物程度 |
ロングワイドタイプ | 床面積:10平方メートル(6.4畳)容量:23平方メートル | 2〜3人暮らしで荷物が多い方向け |
上記の容量は、2トントラックを扱っているレンタカー業者によって異なります。あくまで目安として参考にしてください。
また、2トントラックは小型に分類されるので、比較的運転しやすいトラックです。MT車(マニュアル車)の免許を取得していても、不慣れな方やAT車限定の免許の方でも運転できるよう、AT車(オートマチック車)限定の車も数多く揃えられています。
2トントラックの種類
2トントラックは、大きさや容量などから異なる呼び名がありますが、以下の種類でも分けられています。
- 平ボディ
- ユニック車
- 特殊車両
それぞれの特徴や活躍場面を紹介していきます。
平ボディ
2トントラックの平ボディとは、広く流通されているトラックです。汎用性の高さから、使いやすさが人気の種類で、国内だけでなく海外でも多くの需要を集めています。
荷台がオープンデッキになっていて、荷台に積んだものが降ろしやすくなっているのが特徴的です。単身者の引っ越しや個人経営で農業を営んでいる方など、活用される場面が多い2トントラックです。
ユニック車
2トントラックのユニック車とは、クレーン装置が搭載されたトラックです。機動性の高さが特徴的で、建設現場で資材を短い距離感で移動したい場面で活用されています。
またピアノを2階に上げたい場面にピアノ専用のユニック車があり、デリケートなものの運搬もできます。前述した平ボディとは異なり、人の力で持ち運びが難しい荷物の運搬で力を発揮します。特定の荷物を慎重に運搬したい際に活用されるのがユニック車です。
特殊車両
2トントラックの特殊車両とは、冷蔵品や冷凍品を配送する際に活用されるトラックです。現在では当然のように冷蔵品や冷凍品の配送ができていますが、技術が発展する前は特殊車両が貴重な車でした。
冷蔵品や冷凍品の運搬に向いているトラックのため、殺菌作用のある素材を床に敷き詰めて衛生面を考慮しています。また冷気を逃さないように、ドア部分にカーテンが付いているトラックもあります。温度管理が重要視される食品を運搬したい際に活用されるのが特殊車両です。
2トントラックを運転できる免許
2トントラックをレンタルしたいと考えている方にとって「運転可能な免許」について気になるものです。
ここからは2トントラックを運転できる免許や注意点について紹介します。
旧普通免許(中型8t限定)か準中型免許が必要
2トントラックの運転は、免許を取得した時期によって必要な免許が異なります。なぜなら、平成29年3月12日に道路交通法の改正により、準中型免許が新設されたからです。
道路交通法が改正される前の普通免許であれば、最大積載量3トン未満のトラックが運転可能です。一方で道路交通法の改正以降に免許を取得した場合、普通免許で運転ができるのは最大積載量2トン未満なので、重量の制限が厳しくなりました。
つまり、免許取得時期が平成29年3月12日よりも、前なのか後なのかで必要な免許が異なります。またこれから免許を取得する場合、最初から準中型免許を選択したうえでの受験ができます。2トントラックを運転したい際は、必ず免許取得時期を確認しましょう。
クレーン付きの場合は注意が必要
運転しようとしている2トントラックが、前述した「ユニック車」のようにクレーン付きの場合は、所定の資格が必要です。なぜなら、ユニック車を使用する場面のほとんどが建設現場になるからです。
重量のある荷物を運んだりクレーンの操作が必要で、専門知識や技術が必要になります。具体的には、吊り上げる荷物の重さによって必要なものが異なります。
吊り上げる荷物の重さ | 必要な資格や講習 |
0.5トン〜1トン | 小型移動式クレーン運転に係る特別教育 |
1トン〜5トン | 小型移動式クレーン運転講習 |
5トン以上 | 可動式クレーン運転免許 |
ユニック車を使用する際は、吊り上げる荷物の重さを確認しておきましょう。
出典:安全衛生技術試験協会「受験資格(移動式クレーン運転士)」
2トントラックを運転する際の注意点7つ
2トントラックを運転する際に気をつけておきたいポイントは、下記の7つです。
- 運転席が高い
- 荷崩れする
- 横転する
- 車幅感覚
- 車高制限
- 死角が多い
- 止まるまでの距離が長い
順番に紹介していきます。
1.運転席が高い
2トントラックは普通乗用車よりも運転席が高く、見晴らしが良いので運転しやすいメリットがあります。しかし運転席が前輪の真上に位置しているので、乗用車の感覚では運転できません。
普通乗用車を運転する場合、運転席が前輪よりも後ろにあるので、前方を注意する際にバンパー部分を意識して運転します。一方で2トントラックの場合、前輪だけでなくエンジンルームの真上に運転席があります。
つまり自分の前には何もない状態になるので、普通自動車の運転とは違ったコツが必要になるのです。
2.荷崩れする
2トントラックを運転する際は、荷崩れに注意する必要があります。特に前述した平ボディの場合、しっかりと固定しておかないと運転中に荷物が落下してしまい、大きな事故を起こしてしまう恐れがあります。
ロープやバンドなどで固定していたとしても、急ハンドルや急ブレーキなど荒い運転をしていると荷崩れが起きてしまうので注意しましょう。2トントラックを初めて運転する場合は、ハンドル操作はもちろん、速度にも気をつけて安全に運転しましょう。
3.横転する
2トントラックを運転する際、横から来る強風が原因で生じる横転に注意が必要です。平ボディの2トントラックの場合でも、荷物を高く積んでいるので強風時は積載物の横転とともに車両まで横転してしまう恐れがあります。
また2トントラックの運転に慣れていない場合は、道路を曲がる運転さばきにも注意が必要です。交差点に入る際は真っ直ぐ入り、後輪を中心にゆっくりと回転する感覚を掴んでいきましょう。
4.車幅感覚
2トントラックを運転する際、車幅を意識した運転が必須です。同じ2トントラックでも、車両のタイプによって車幅が異なります。おおよその車幅は、1.7メートル〜2.1メートル前後になっていて、目的地までの車幅を意識しておく必要があります。
目的地までの道のりで狭い道路がある場合、曲がれない状況も考えられます。つまり普段の運転でも、車幅を意識して狭い道に慣れておく必要があるのです。
5.車高制限
2トントラックを運転する際、車両の高さにも注意して運転しましょう。車両の高さが約3.1メートルの2トントラックもあり、低い看板や高架下を通る際に接触事故が起きないよう運転しなければいけません。
看板や高架下で接触事故が起きてしまうと、荷主だけでなく多方面に迷惑をかけてしまう恐れもあります。初めて運転する方は特に、車両の高さや荷物を積んだ後の高さなどを把握したうえで運転しましょう。
6.死角が多い
2トントラックを運転する際、普通乗用車よりも死角が多いので注意が必要です。2トントラックは荷物を積んだうえで運転する場合が多く、真後ろを見たくてもバックミラーでは確認できません。
最近は真後ろを確認できるモニターが搭載されているトラックが多く、真後ろの死角を解消できます。しかし、左サイドミラーの真下や左右の後方には死角があります。主に運転席から見て左側が死角になりやすいので、十分に注意して運転しましょう。
7.止まるまでの距離が長い
2トントラックを運転する際、普通乗用車と違ってブレーキを踏んでから止まるまでの距離が長いことも注意点のひとつです。
普通乗用車の感覚でブレーキを踏んでも、思った距離で車両が止まれず、最悪の場合衝突事故が起きる可能性もあります。早めにブレーキを踏んだり十分に車間をあけたりして、普段よりも安全運転を心がけましょう。
2トントラックレンタカーのデメリット
2トントラックを運転するにも前述のような注意点が必要ですが、レンタカーとして使用するデメリットもあります。今回紹介するデメリットは、以下のとおりです。
- 普段運転しないため不慣れ
- 費用がかかる
- 受け渡しに制限がある
順番に紹介していきます。
普段運転しないため不慣れ
2トントラックのレンタルは、普段運転する車ではないので不慣れさが目立ってしまいます。車両の高さや幅に注意したり、狭い道や強風時にも自家用車と違った運転をしなければいけません。
自家用車であれば「運転に慣れるまで近くを運転しよう」などの実践練習ができますが、レンタカーは多くの場合、運搬時に使用します。2トントラックを使用する場面が、頻繁にあるなら問題ないものの、運転頻度が少ないなら注意が必要です。
運転にコツが必要な2トントラックは、普段運転するわけではないため、横転や事故などのリスクを回避しなければいけません。2トントラックのように大きな車を運転する機会が少ない方は、2トントラックのレンタルはデメリットに感じるでしょう。
費用がかかる
2トントラックのレンタルは、本体料金以外にも費用がかかることも覚えておきましょう。レンタカーなので、借りる時間に応じたレンタル料はもちろん、補償やオプション料金が発生する場合もあります。
万が一事故に遭ってしまった際、対物免責額や車両の修理費用などを利用者が負担しなければいけないケースもあります。レンタカーを借りる際には、事故に遭った場合の費用を免除する「免責補償制度」が附帯しているか確認しましょう。
レンタルする業者にもよりますが、転落や転覆、ガードレールなどに衝突するような自損事故は補償されない場合があります。安心安全にレンタカーを借りるためには、レンタル料金以外に補償やオプション料金がかかってしまうのです。
受け渡しに制限がある
2トントラックのレンタルをする際、受け渡しにも制限があることもデメリットのひとつです。例えば2トントラックをレンタルする際は、車両を届けてくれるわけではありません。
2トントラックを営業所まで借りに行き、使用後は返しに行く必要があります。また、レンタル業者の営業時間内にしか、2トントラックの貸し借りができないのもデメリットです。さらに急にレンタルが必要になった場合でも、営業所で用意している2トントラックが予約できない可能性もあります。
レンタカーが不安ならチャーター便がおすすめ
2トントラックのレンタルが不安な場合、チャーター便がおすすめです。ここからは2トントラックのチャーター便をおすすめする理由を紹介するために、概要やメリットなどを紹介します。
またデメリットも紹介したうえで料金の目安も取り上げるので、チャーター便を活用する際の参考にしてください。
チャーター便とは
チャーター便とは、ドライバー付きでトラックを貸し切りできるサービスです。2トントラックをレンタルする場合とは異なり、ドライバー付きで貸し切れるので安心して荷物を運搬できるのが特徴的です。運送業者によっては、荷物の積み込み作業や荷降ろしまで一貫して依頼でき、単発で運搬したい方に重宝されています。
2トントラックを運転するには、慣れるまでの期間や貸し借りの制限を考慮する必要があります。チャーター便であれば、資格を取得したプロの運転士が運んでくれるので、自分で運転する心配が解消されるのが魅力的です。
チャーター便のメリット
チャーター便のメリットは、自由度の高さやリスクの軽減が挙げられます。運搬する時間の指定だけでなく、運搬のルートや到着時間まで決められるので、自由度高く要望できます。
何かを生産している事業者にとって、消費者がいる目的地まで直接届けてくれるので、リードタイムの短縮ができるのです。リードタイムが短縮できれば、顧客満足度の向上にもつながりるのでECサイトを運営する事業者にもおすすめです。
またチャーター便は、パソコンのような精密機器の運搬もでき、運搬したい商品によって車種を選べる特徴もあります。温度管理が必要な冷蔵・冷凍品や危険物などの特殊な荷物も運搬できるので、広く活用できるのがチャーター便です。
チャーター便のデメリット
チャーター便のデメリットは、繁忙期は手配が難しくコストがかかりやすい傾向にある点が挙げられます。物流業界において、年末年始や入社式・入学式の時期などは繁忙期です。Amazonブラックフライデーのように大手通販事業社でイベントがある際も、手配しにくくなってしまいます。
またチャーター便はトラック1台単位で依頼するので、比較的割高になりやすい傾向にあります。レンタルとは異なり、人件費がかかってしまうので注意が必要です。
しかしチャーター便を手配している業者によっては、大量の荷物を運搬するような依頼に対して、安くなる場合もあります。コストが気になる際は、必ず見積もり依頼をしておきましょう。
チャーター便の料金の目安
チャーター便の料金目安は、起点になる都市や移動距離などで異なります。たとえば、2トントラックのチャーター便を利用した際の目安は以下のとおりです。
移動距離(キロメートル) | 料金目安(円) |
10 | 18,000~20,000 |
30 | 20,000~22,000 |
50 | 22,000~24,000 |
100 | 28,000~30,000 |
また、冷蔵・冷凍品のような特殊車両や休日・深夜などは、2割増になります。起点になる都市や移動距離だけでなくオプション料金が発生する場合もあるので、必ず見積もりを依頼しましょう。
出典:全日本トラック協会・都道府県トラック協会「今すぐわかる標準的な運賃」
まとめ
今回は、2トントラックをレンタルして運転しようと思っても、運転が不安な方に向けて概要や注意点を紹介しました。本記事の内容をまとめると、以下のとおりです。
- 2トントラックは容量や使用場面に応じたトラックがある
- 普通免許を取得した時期によっては「準中型免許」が必要になる
- ユニック車の場合は資格や講習を受ける必要がある
- 2トントラックの運転は細心の注意が必要になる
- 2トントラックの運転が不安でもチャーター便を活用すれば問題ない
普段、普通乗用車以外の車を運転しない方にとって、レンタカーを借りるよりチャーター便を活用した方が安心できます。
東京の運送会社「シゲタイーエックス」では、お客様のニーズに合わせてチャーター便の手配も可能です。いつでもお問い合わせください。
軽貨物から2トントラックで、お客様の配送部門として配送業務を担います。