自社の荷物を運送する際、ベストな方法が分からずに迷っていませんか?
多くの配送方法があり、コスト面や融通のききやすさ、運べる量などが異なるため選べないという方も多いのではないでしょうか。
今回は「軽貨物車」にスポットをあてて、車両の特徴や種類、軽貨物を使うメリットなどを詳しく深堀りします。
5分程度で読めて、軽貨物の疑問点を解決できますよ。
詳しくない方でも分かりやすいように、丁寧に解説しますので最後までご覧ください。
軽貨物車とは
軽貨物車とは、荷物を運ぶために使用する軽自動車のことです。
ただし軽自動車を軽貨物車として使用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
ここでは、貨物車両として使用するために覚えておきたい項目として、以下の3つを解説します。
- 軽貨物車のサイズの規定
- 最大積載量
- 軽乗用車との違い
軽貨物車のサイズの規定
軽貨物車は、軽自動車の一種です。
つまり軽貨物車は、以下の軽自動車としての基準を満たす必要があります。
- 全長3.4m以下
- 全幅 1.48m㎜以下
- 全高 2m以下
- 排気量660cc以下
参考:全国軽自動車協会連合会
この車両規格を満たす自動車のうち、軽トラックや軽バンなどの商用車が軽貨物車に分類されます。
簡単に軽自動車かどうかを判断する方法は、ナンバープレートを見るのがおすすめです。
ナンバープレートが黄色または黒なら軽自動車です。
黄色は「自家用」として、一般的な家庭で利用されています。
一方、黒いナンバープレートは「営業用」で、運送業など「運ぶ」ことで報酬を得るために使う車に使用されます。
ナンバープレートについてまとめた記事もありますので、参考にご覧ください。
参考記事:図柄入りナンバープレートについて解説!申込方法や人気の地方版も紹介
最大積載量
最大積載量とは、その車に積める荷物の重さの上限のことです。
軽貨物の最大積載量は、350㎏と道路交通法で定められています。
ちなみに最大積載量は4ナンバーの貨物車だけに適用され、自家用の乗用車には適用されません。
というのも、自家用の場合はおもに人間が乗ることを目的としている一方で、貨物車は荷物の搭載を目的にしているためです。
もしも最大積載量を定めずに多くの荷物を積んでしまうと、バランスを崩したりブレーキの効きが悪くなったりして危険です。
そのため、最大積載量が定められ、重大な事故を起こさないようにしているのです。
最大積載量と勘違いしがちな項目に、車両総重量があります。
最大積載量はその車に載せられる荷物の重さなのに対し、車両総重量は以下の合計によって算出します。
- 車両自体の重さ
- 乗車定員×55㎏
- 最大積載量
つまり、最大積載量は車両総重量に含まれることになります。
積載できる上限があるのは重さだけではなく、積載できる寸法にも上限があります。
各制限を超えて荷物を運ぶと、道路交通法違反になりますので注意しましょう。
最大積載量に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
参考記事:【積載量】軽貨物が積める荷物はどれくらい?具体例つき
軽乗用車との違い
軽貨物車と軽乗用車は、用途によって分類されます。
荷物を運ぶための軽自動車を「軽貨物車」と呼びますが、どの軽自動車でも軽貨物車として利用できる訳ではありません。
国土交通省の「自動車の用途等の区分について」によって定められた条件を満たす必要があります。
聞きなれない言葉で難しいかもしれませんが、おおまかに説明すると以下のとおりです。
- 荷物を積める場所が0.6㎡以上
- 人が乗る場所より荷物を積む場所が大きいこと
- 最大乗車人員の重さより重い荷物を積めること
- 荷物を積む場所に屋根や壁がある場合は、縦600mm横800mm以上の開口部があること
- 基本的に、乗る場所と荷物を積む場所には仕切りなどを備えていること
国土交通省のサイトに載っている、詳細な条件は以下のとおりです。
- 物品積載設備の床面積:自動車の物品積載設備を最大に利用した場合において、物品積載設備の床面積0.6㎡以上あること。
- 物品積載設備の床面積と乗車設備の床面積:自動車の乗車設備を最大に利用した場合において、残された物品積載設備の床面積が、この場合の乗車設備の床面積より大きいこと。
- 積載貨物の重量と乗車人員の重量:自動車の乗車設備を最大に利用した場合において、残された物品積載設備に積載し得る貨物の重量が、この場合の乗車設備に乗車し得る人員の重量より大きいこと。
- 物品の積卸口:物品積載設備が屋根及び側壁によっておおわれている自動車にあっては、その側面又は後面に開口部の縦及び横の有効長さがそれぞれ縦600mm横800mm以上で、かつ、鉛直面への投影面積が0.48㎡以上の大きさの物品積卸口を備えたものであること。ただし、物品積載設備の上方が開放される構造の自動車で、開口部の床面への投影面積が0.6㎡以上の物品積卸口を備えたものにあっては、この限りでない。
- 隔壁、保護仕切等:自動車の乗車設備と物品積載設備との間に適当な隔壁又は保護仕切等を備えたものであること。ただし、最大積載量500Kg以下の自動車で乗車人員が座席の背あてにより積載物品から保護される構造と認められるもの、及び折りたたみ式座席又は脱着式座席を有する自動車で乗車設備を最大に利用した場合には最大積載量を指定しないものにあってはこの限りでない。
ここまでは「軽貨物車」について解説しました。
次のパートでは「軽貨物」を詳しく深堀りします。
軽貨物とは
ここでは軽貨物を理解するために、以下の4点について詳しく解説します。
- 正式には「軽貨物軽自動車運送事業」
- 軽貨物の営業時間
- 軽貨物と宅配の違い
- 軽貨物を使うメリット
正式には「貨物軽自動車運送事業」
軽貨物は「軽貨物運送業」と呼ばれることがありますが、正式な名称は「貨物軽自動車運送事業」です。
貨物自動車運送業法では運送業を次の3つに分類しています。
- 一般貨物自動車運送事業
- 特定貨物自動車運送事業
- 貨物軽自動車運送事業
運送業とは、他人からの依頼で荷物を運送し、運賃を受け取ることを指します。
運送業を営むには、国土交通大臣からの許可が必要です。
しかし軽貨物軽自動車運送事業は、法律上は運送業に該当しません。
そのため運送業許可は不要ですが、事業所を管轄する運輸支局長に届け出が必要ですので注意しましょう。
軽貨物の営業時間
軽貨物の営業時間は、事業者によって大きく異なります。
たとえば、受付だけはインターネット予約で24時間おこない、実際の対応は翌日の営業時間内におこなっている事業者もあります。
また規模が小さい会社であれば、夜中の急な配送依頼に対しても柔軟な対応も可能かもしれません。
というのも、小売業者への商品配送を請け負っている場合、店舗の営業前に商品を配達するために早朝から活動しているからです。
別のケースでは、早朝からの工事に間に合うように資材を配達していることも考えられます。
事前に深夜や早朝の配送が分かっている場合は、前もって配送業者に相談しておくことをおすすめします。
軽貨物と宅配の違い
軽貨物と宅配は違いがないように思うかもしれませんが、配送先や使用車種などの点で区別できます。
「宅配」とは主に個人宅へ荷物を配送することを指し、小包など比較的小さいものを運ぶのが主流です。
インターネット通販などが盛んな今、宅配の需要はますます高まっています。
よく2トン車が個人宅を回って荷物を配送しているのを見たことがあると思います。
使用する車種に関わらず、荷物を指定の場所まで届けるサービスの総称が「宅配」です。
宅配といえば「宅急便」をイメージする方も多いかもしれませんが、宅急便とはヤマト運輸が提供する宅配サービスの名称で、ヤマトホールディングスの登録商標です。
一方で軽貨物とは軽自動車を使用した配送のことで、配送先や荷物の種類に制約はありません。
貨物車両としての条件を満たした軽自動車を使い、企業間での荷物の受け渡しやイベント時の機材運搬など様々なニーズに応えられます。
車両がコンパクトなため、街中などの狭い場所でも高い機動性で荷物を運べる点が特徴です。
宅配は主に個人宅に配送し、軽貨物は軽自動車を使った配送方法ということになります。
つまり「軽貨物で宅配する」ことも可能というわけです。
以上のように、軽貨物と宅配はそれぞれの特性と役割を持っています。
適材適所に活用することで、より効率的な配送を目指しましょう。
軽貨物を使うメリット
軽貨物を利用するメリットは、機動性の高さにあります。
大型のトラックなどと異なり軽自動車での配送なので、小回りが利く点が大きな特徴です。
都市部のような交通量の多い場所や狭い路地が多い地域でも、スムーズに荷物を運ぶことが可能です。
また車両もコンパクトなため、荷物の出し入れが容易であるという特徴も持っていて、一般家庭への荷物の配送や店舗間への商品輸送などに利用されています。
また軽貨物で引っ越しができることをご存じの方は、少ないのではないでしょうか。
こちらの記事では、軽貨物で引っ越しをするメリットなどを解説しています。
参考記事:軽貨物運送業者でも引っ越しはできる!メリットや注意点を解説
また軽自動車での配送なので、普通免許で運転できる点もメリットといえます。
普通免許は中型免許や大型免許と異なり18歳以上で取得できるため、比較的ドライバーの確保が簡単です。
緊急時などは、手配のハードルが低い軽貨物のチャーター便を利用するのがおすすめです。
軽貨物車の種類
軽貨物車には様々なタイプがありますが、ここでは以下の3つについて解説します。
- ワンボックスタイプ
- トラックタイプ
- 特殊車両タイプ
それぞれの軽貨物車の特徴を理解し、自分の運送ニーズに合わせて適切な軽貨物車を選択することが重要です。
ワンボックスタイプ
ワンボックスタイプの軽貨物車はその名のとおり、箱型のボディが特徴です。
この形状がもたらすメリットとして、広い荷室を確保できる点が挙げられます。
そのため小さな小包などを大量に運ぶことや、一つの大きな荷物を運ぶことに優れています。
また荷物を積み下ろしやすい構造になっているので、効率的に配送作業を行うことが可能です。
ただし荷室よりも大きな荷物は運べない点は、デメリットとして覚えておきましょう。
たとえば長い木材やパイプ、高さのある看板などを運ぶのには適していません。
とはいえ屋根や壁がしっかりしており、荷物の保護も適切に行える特性も持っているタイプの車両です。
トラックタイプ
いわゆる「軽トラ」と呼ばれるトラックタイプは、荷台が開放型であることが大きな特徴です。
荷台が開放されていることで、大きな荷物や長尺の物品を積載しやすくなります。
また、荷物を積み下ろしやすい点もこのタイプの大きなメリットです。
具体的には建築資材や家具など、大きさや形状がまちまちな荷物の輸送には、トラックタイプの軽貨物車が適しています。
しかし天候の影響を受けやすい点は、逆にデメリットといえるでしょう。
段ボールや布類など風に飛びやすい荷物は固定する必要がありますし、雨天時には荷物が濡れないようにカバーをかけるなどの適切な対策が必要です。
特殊車両タイプ
特殊車両タイプの軽貨物車とは、特定の目的や用途に特化した機能を持つ車両のことを指します。
冷蔵車や冷凍車などがこのタイプに該当し、特定の荷物を運ぶための特別な設備を備えています。
例えば冷蔵車や冷凍車は、食品や医薬品など一定の温度で運ぶ必要がある荷物の輸送に使用されます。
荷室部分に装備されている冷却装置で、温度を一定に保つことが可能です。
温度の影響を受けやすい荷物でも、品質を維持しながら目的地まで運べます。
ただし特殊車両タイプの特性上、維持管理が通常の車両よりも複雑です。
冷蔵・冷凍機能を維持するためには、定期的なメンテナンスや点検をしなければいけません。
また冷却装置に故障や不具合が発生した場合、修理費用が高額になる可能性も覚えておきましょう。
軽貨物ドライバーとは
軽貨物ドライバーとは、主に軽貨物車を運転して物品の輸送や配達を行う職業のことを指します。
ここでは以下の3つの観点から、詳しく紹介します。
- 仕事内容
- メリット
- 向いている人
仕事内容
1日100㎞から200㎞程度走るといわれている、軽貨物ドライバーの基本的な仕事の流れは以下のとおりです。
- 物流倉庫で伝票を受け取る
- 伝票をもとに配送ルートを決める
- 荷物を積み込む
- 配送
ただ荷物を運ぶだけでなく、積み込みの際は荷崩れしないような技術も求められます。
またスムーズな配送ができるよう、道路状況を予想するための知識と経験も必要です。
またドライバーは配送先の顧客と直接対話する機会が多いため、接客スキルも大切な適性です。
荷物を届ける際に気持ちよく受け取ってもらうための対応や、遅延や紛失などのトラブル対応もしなければいけません。
さらに軽貨物ドライバーには自己管理能力も求められます。
休憩やトイレも自分のタイミングで決める必要がありますし、体調不良で配送ができないことは避けなければいけません。
このように軽貨物ドライバーの仕事内容は多岐にわたり、様々な適性やスキルが求められます。
メリット
軽貨物ドライバーは個人事業主として開業している場合が多く、業務委託を請け負っているケースが一般的です。
そのため、自由度が高い点がメリットといえます。
例えば、たくさん稼ぎたいときは多くの配達を請け負うことも可能です。
逆に仕事をセーブしたいときは受注件数を抑えるなど、柔軟な働き方ができます。
荷物を届けた分だけ報酬を受け取れますので、稼ぎやすい点もメリットです。
配達件数によるインセンティブ制度を取り入れているケースが多いため、働き方次第で収入を増やすことが可能です。
また運転が好きな人にとっては、楽しく働ける点もメリットといえるでしょう。
1人で仕事を進められることを考えると、上司や同僚との日続き合いが苦手な方にもおすすめです。
しかし配送先では顧客とのコミュニケーションも必要な点は注意が必要です。
向いている人
軽貨物ドライバーとして働くには、物理的な体力があり慎重さを持つ人が向いています。
体力が必要な理由は、荷物の積み下ろしや運搬が発生するためです。
時には重い荷物を扱うこともありますので、ある程度の体力が必要となります。
特に工事現場などに運送する資材や、家財道具などを積み込む際には腕力が必要です。
また軽貨物ドライバーは大切なお客様の荷物をお預かりしています。
そのため荷物を雑に扱ったり、荷崩れの可能性を見逃したりするような人は向いていません。
運送中の振動などで荷物が破損しないように、慎重な運転ができる人が軽貨物ドライバーに向いています。
ほかにも安全運転ができることや、時間管理能力など幅広い適性が求められます。
まとめ
今回は軽貨物車について、軽貨物運送や車種、ドライバーなど詳しく解説しました。
内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
- 軽貨物車とは条件を満たした、荷物を運ぶための軽自動車
- 軽貨物とは軽貨物車を使用した運送事業
- 軽貨物ドライバーには幅広い適性が求められる
軽貨物車は、物流の現場で重要な役割を果たしています。
自分に合った配送ニーズを満たすために、軽貨物に対する理解が深まれば幸いです。
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