自動運転といえば、誰も乗っていない自動車のハンドルやペダルが自動で操作され、走行しているイメージをお持ちの方もいるでしょう。
しかし、2023年3月現在、無人で公道を走れる車は存在しません。今回は、自動運転の現状や展望、軽貨物業界に与える影響などについて解説します。
自動運転の普及は、私たちの生活に変化を与えてくれることは間違いないでしょう。最新の研究結果も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
自動運転とは
自動運転とは車の運転に必要な要素を、人間の代わりに機械が行うことで実現する運転のことです。
必要な要素とは「認知(目)」「予測・判断(脳)」「操作(手や足)」の3つです。
人間の目にあたる認知はカメラやセンサー、人工衛星による位置情報で行います。
認知機能で得た情報をもとにAIが予測・判断し、その結果にあわせて必要な機器を自動操作するという仕組みです。
多くの交通事故が操作ミスにより発生していることから、自動運転の普及は交通事故の減少の効果があると言われています。
ほかにも、規律的な運転による渋滞の緩和や、移動が困難な方の交通手段の確保に役立つことが期待されています。
現状
自動運転にはレベル0~5の6段階があり、概要は以下のとおりです。
自動運転というと、運転席に人間が乗っていなくても無人で走る車、というイメージがあるかもしれません。
その状態は上記分類のレベル5に該当し、まだ実現していません。
たとえばレベル1やレベル2には、目の前の障害物などをセンサーで検知し、速度や距離により自動でブレーキがかかる車両が該当します。
ほかにも、ペダルの踏み間違いによる急発進を抑える機能もレベル1や2に該当し、すでに搭載されている車両もあります。
システムによる制御はあくまでもサポートであり、運転の主体は「人間」です。
2020年4月からは、レベル3の車両が公道を走れるようになりました。
道路交通法が改正され一定の条件下であれば、人間がハンドルから手を離してシステムに運転を任せられるようになりました。
運送事業に活用する上での課題
発展を続ける自動運転ですが、運送事業に活用するためには解決すべき問題があります。ひとつは、荷物に配慮した運転技術が求められる点です。
貨物車両のドライバーは、積んでいる荷物に合わせて運転します。たとえば重量物や割れ物、精密機器を運ぶときは、車両の振動や衝撃で荷物が破損しないような配慮が必要です。
自動運転においても、荷物を傷つけないような運転ができるシステムを構築しなければいけません。また自動運転の場合は、荷物の積み降ろしが困難です。
自動運転システムにより荷物は目的地まで運べますが、車両に荷物を積んだり降ろしたりするには人間の手が必要です。荷物の形状や重さ、状態などによって適切な積み方は異なり、現在はドライバーの技術で柔軟に対応しています。適切な積み方もシステムに組み込まなければ、運送事業で自動運転を活用することは難しいでしょう。
自動運転のメリット
自動運転には多くのメリットがあると言われています。
ここでは以下の2つについて詳しく解説します。
- ドライバーの負担が減る
- 交通事故減少
ドライバーの負担が減る
ドライバーは常に周囲の状況に気を配り、判断しながらハンドルやブレーキを操作しています。車間距離や速度を制御してくれる機能など、自動運転技術を活用すればドライバーの負担を軽減することが可能です。
また夜間や悪天候など普段よりも気をつかう状況でも、センサーやカメラを駆使して周囲の状況を正確に把握できます。さらに渋滞や駐車など、イライラしがちな操作をサポートしてくれるシステムも存在します。
自動運転を有効に活用すれば、ドライバーがすべて判断する場合に比べて、負担を軽減することが可能です。ただし自動運転技術はあくまでもサポートであり、運転の主体は人間であることは忘れないようにしましょう。
交通事故減少300
交通事故の減少が期待できる点も、自動運転のメリットです。自動運転では、センサーやカメラなどで得た情報を人工知能が分析し、瞬時にハンドルやブレーキなどを操作します。
人間では反応が遅れるようなとっさの状況でも、自動運転なら事故を防げる可能性があります。疲労やストレスなどにより注意力が散漫になることで起こり得る、ミスや事故の減少も期待できるでしょう。
人間がわき見運転をしていても、システムが危険を察知した場合は自動車を制御してくれるため、交通事故の減少が期待されています。
貨物車両における自動運転の実例
貨物車両における自動運転は、2016年から車両技術の開発が行われてきました。
20221年2月22日には、新東名高速道路の遠州森町PA~浜松SA(約15km)で後続車無人隊列走行技術の実験が行われました。時速80キロで走行する3台の大型トラックのうち、後続の2台の運転席を無人にした状態で隊列走行する実験です。
先頭車がギアを入れたりパーキングブレーキを解除したりすると、後続車でも同じ操作が行われます。動き出したあとも、先頭車で行われる速度調整やハンドル操作が後続車に反映される仕組みです。
走行中は車間距離約9mで走行し、先頭車が時速80キロでフルブレーキをかけても衝突しないようなシステムが構築されています。後続車には後方を確認するカメラが付いていて、映像は先頭車からも確認可能です。
また車体に表示されたデカールやLEDで、一般車がトラックの間に割り込まないように注意喚起が行われます。万が一割り込みがあった場合、後続車を停止させるシステムが働き安全が確保される仕組みです。実験の様子は、経済産業省のYouTubeチャンネルで視聴できます。
今後は、雪や霧などの厳しい自然環境下でも安全に走れることや、緊急時の安全担保、割り込みへの対応などが求められています。
今後の展望
人間の軽貨物ドライバーが行うようなすべての作業を、自動運転の無人車が行えるようになるには、まだまだ長い時間がかかるでしょう。
というのも自動運転で一般の住宅に荷物を運ぶには、多くの課題を乗り越えなければいけないためです。たとえば一般道は歩行者がいることもありますし、車道と歩道の境界があいまいな道路もあります。
自動運転で一般道を走るには、より多くの認知と判断が必要になり、さらなる技術の発展が求められます。さらに、積み荷に配慮した運転技術が必要な点も、克服すべき課題のひとつです。
割れ物や精密機械などを積んでいる場合でも、車の揺れや衝撃で破損しないような運転技術を実現する必要があります。しかしドライバーの人材不足が叫ばれている中で、自動運転の普及は追い風になることは間違いありません。
まとめ
今回は自動運転技術の進歩が軽貨物に与える影響についてお伝えしました。
自動運転にはレベル0~5の6段階あり、現在はレベル3まで実現
しています。
現在は高速道路での実験にとどまっていて、一般的に軽貨物に自動運転が使われるにはもう少し時間がかかるでしょう。しかし自動運転には、ドライバーの負担や交通事故が減らせるなどのメリットがあります。
自動運転は、私たちの生活に影響を与えることは間違いありませんので、今後も発展する最新技術を見守りましょう。シゲタイーエックスで、自動運転車を導入するのは、まだもう少し先の話となりそうですが、これからも、お客様が安心して荷物を預けられるよう、人の手で人間味のある配送をしてまいります
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