2022年4月に道路交通法の改正案が衆議院で可決され、電動キックボードの法律での取り扱いが変わりました。東京でも街中で電動キックボードが走っていたり、設置されているポートがどんどん増えていたりと、目にする機会はとても多くなりました。私も実際に乗ってみて便利だと思ったことと、ちょっとこわいなと思うこともありました。
現在は、法整備的にも発展途上にあり2023年7月にも法改正があります。区分により扱いが変わったりルール改定もあるので、「免許不要で乗れるのはいつ?」「誰でも乗れるの?」など現在の法律で定められているルールがイマイチわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、電動キックボードの現行法での位置づけを解説します。また利用者が守るべきルールと車を運転する側がヒヤリハットを防ぐために知っておきたい視点をまとめています。
電動キックボードってどんな乗り物?
日本でも都市部で見かけるようになった電動キックボード。
ここでは、電動キックボードの魅力と現在の法律における電動キックボードの取り扱いなど基礎的な知識を解説します。
電動キックボードのメリット
特に都市部においては移動のスムーズさがメリットとして挙げられます。
実はそれ以外にも電動キックボードが移動手段として優れていると言われているのは、図の通りです。
現在の道交法における「電動キックボード」の位置づけは
冒頭でも少し触れましたが、電動キックボードの車両区分が新しく新設された改正法が可決されたのは2022年4月のこと。
「16歳以上であれば免許不要で利用できる」のは改正法の施行後となり、2023年7月1日から開始されます。
ここでは、2023年6月までの電動キックボードの区分と法律で定められた交通ルールをまとめています。
「特例電動キックボード」とは、政府の特例措置を受けた事業者が実証エリア内で実験的に電動キックボードの運用を行っているもの。
つまり個人所有の電動キックボードは、原付と同様の扱いのためヘルメットなしでの走行や車道以外の走行は違反となります。
2023年7月から改正道路交通法により16歳以上免許不要に
- 最高速度20キロ以下のものは、16歳以上であれば運転免許不要に。
- 電動キックボードは原則として、車道を通行するが、時速6キロ以下で歩道も走行可能。
- ナンバープレートの義務
- 自賠責保険の義務
利用者必見!電動キックボードで公道を安全に走行するためのルール
上記で電動キックボードの区分によりルールが違うことが理解できたかと思います。
ここからは、手軽な乗り物ゆえ利用者側がつい犯してしまいがちな違反行為を解説します。
公道を安全に走行するためにも、電動キックボードを利用する際には必ず守りましょう。
- 飲酒運転禁止
- 2人乗り禁止
- ヘルメットの着用、個人用は義務。特例用は任意。
- スマホの操作禁止
1. 飲酒運転禁止
お酒を飲んで利用するのは絶対NGです。
当然、飲酒運転となり法律違反。
これは個人所有の電動キックボードであっても、特例電動キックボードであっても同様です。
2. 2人乗り禁止
電動キックボードでの2人乗りはやめましょう。
電動キックボードは車輪が小さく車体本体が軽いため、ちょっとした重心のブレでもバランスを崩しやすい乗り物です。
子どもを抱っこ紐に入れての走行も危険ですので絶対にしてはいけません。
3. ヘルメットの着用
個人所有のキックボードにおいて、現行法ではヘルメットの着用は義務となっています。当然ヘルメットを着用していないと違反です。
一方、特例電動キックボードではヘルメットの着用は「任意」となっています。
そのためヘルメットの着用義務はありませんが、時速50㎞、60㎞で走行する車のすぐ横を走ると考えるとヘルメットの着用をおすすめします。
4. スマホの操作禁止
電動キックボードで走行中はスマホを操作しながらのながら運転は禁止です。
バイクでの片手運転も「安全運転義務違反」となり、違反となるため電動キックボードでも同様です。
また、操作しないにしてもスマホを注視しての運転も危険なのでやめましょう。
車の運転者はここに注意!電動キックボードの特性を知っておこう
「電動キックボードを同じ車道を走る場合、どのような点に気をつけたらいいのか?」
ここでは車の運転者側から見た電動キックボードの特性と、車道を同じくして走る場合の注意すべきポイントを解説します。
- 車輪が小さく転倒しやすい
- 重心がぶれやすい
- スマホをみて運転している場合も
- 右折時は「小回り右折」する
1. 車輪が小さく転倒しやすい
一般的な電動キックボードの車輪のサイズは8インチ。
そのため、ちょっとした段差や側溝、濡れたマンホールのフタなどでバランスを崩し転倒しやすい特性があります。
電動キックボードと並走する場合は、前後左右共に車間距離をしっかり取りましょう。
また、電動キックボードを抜かすために原付やバイクが大きく車道側に膨らんでくる可能性も頭に入れておきましょう。
2. 重心がぶれやすい
電動キックボードは、車体自体が軽く二輪であるため重心がぶれやすい乗り物です。
重心がぶれやすいということは、先ほども述べたように転倒しやすいということ。
また、両手が空くリュックを背負って電動ボードに乗っている人をよく見かけますよね。
リュックの重さで左右に車体が振れ、バランスを崩すケースも。
先ほどと同様に車間距離を十分に保って走ることが大切です。
3. スマホを見て運転している場合も
先ほどスマホを操作しながらの運転や片手運転は禁止されていると解説しました。
しかし、電動キックボードの利用者の中にはスマホを見ながら運転しているケースもあることは頭に入れておいた方がよいでしょう。
というのも、電動キックボードにはスマホホルダーが装着されていることも多く、そのため実際はスマホを見ながら運転できる状態です。
4. 右折時は「小回り右折」をする
電動キックボード、特例電動キックボードともに右折時は「小回り右折」することとなっています。(自動車と同様の右折)
つまり、電動キックボードも車線変更や、車線内で左側から右側へ移動することがあると認識しておきましょう。
電動キックボードの摘発例(2021年9月~2022年11月)
電動キックボードの利用者の摘発例について、統計を取り始めた2021年9月から2022年11月までの14か月間に1639件あるということが警察庁の集計により分かりました。
そのうち、歩道を走行するなどの「通行区分」違反が、930件と最も多く、全体の57%を占めました。
他には、「信号無視」335件(20%)、「一時不停止」126件(8%)と続きます。
電動キックボードのルールと特性を知り、安全に利用しよう!
利便性の高い乗り物として脚光を浴びている電動キックボードですが、その反面事故のニュースが飛び込んでくることも多くなりました。
電動キックボードを利用する側、そして同じく道路を走る車の運転者側も電動キックボードの特性を知ることで思わぬ事故を防ぐことに繋がります。
また、利用者側はきちんと正しいルールを知り、しっかり守っていきましょう。
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